人生最長距離への挑戦、富士五湖118kmにチャレンジしてきました。昨年100kmを14時間ぎりぎりで完走した走力では118kmを15時間で走り切るには、かなりの成長と不滅の闘魂が必要であることは明白です。残念なことに2週間前のロング練習で膝に違和感を覚え、爆弾をかかえての参戦となってしまいました。ウルトラを目指す以上、同じステージに踏みとどまることはできません。ココイチの8倍カレーも10倍カレーも同じようなもんだと自分に言い聞かせ118kmの旅に出発しました。

あいにく、前日は士業関係のイベントに参加しなくてはならず、スーツ姿のまま、新宿から高速バスに乗り込みました。河口湖駅に着いたのは途中渋滞もあって20:30ころ。予約しておいたタクシーに乗り込み宿へ向かいます。10分ほどで宿に到着。民宿と旅館の中間くらいの規模。風呂にささっと入って21時には就寝。2時から朝食なので夕食は軽めにしておきました。2時になると宿の主人が朝食だよ~と起こしに来ます。食堂に降りていくともう皆さん、朝食をぱくついていました。みんなご飯お代わりしています。すごい胃袋。ウルトラはいつ何時でも食事をとれなきゃいけないし、胃もたれしないようにしなきゃならない。あとでわかったことですが、この宿のランナーは皆118kmの猛者連中ばかり。食べっぷりがいいのも頷けます。

3時に宿出発。支度を整え、玄関で待つもなかなかバスが来ません3:20ころになるとさすがに焦りを感じました。4:00スタートなのに間に合わないかもしれない。3:30ころバスがノコノコやってきて平身低頭。会場入りは3:45くらいでした。荷物預けて、スタートに並ぶともう寛平さんの挨拶が始まっていました。そして4:00スタート。応援にかけつけたウサ耳Mさんに元気もらって競技場を駆け出しました。

4時だと足元が暗いのでライトが必要なのですがヘッドライトは使用せずにハンドライトにしました。すぐ夜が明けるしヘッドライトはそれなりに重い。北麓公園から下り切ったあたりでは夜がしらじらと明けてきて空が群青色に輝いています。その中にぽっかりと顔を出す薄墨色の富士山。とても幻想的で綺麗でした。まるで東山魁夷の絵画の中に飛び込んだよう。

もうすぐR138に出ようかという8kmの給水所で膝の違和感が増幅しそうになったので早めにロキソニンを注入しました。伝家の宝刀は最後まで抜きたくはなかったけど仕方がありません。安全走行でいかなくては。R138に出て山中湖に向かう途中、前方に●●鉄人会のシャツを着た高校時代の同級生を発見。懐かしさもあってしばらく走りながら昔話に花が咲きました。マラソンは新たな出会いもあるけれど懐かしい再会もある。素敵なことです。夏の同窓会でまた詳しく話し合おうということで別れ、先に行ってもらいました。

山中湖に到達することにはすっかり夜は明け、まぶしい光が差してきます。空の移ろいを楽しむだけでも十分価値のあるウルトラレースです。トイレは予想通り混んでいますが、まだもようしてなかったので、そのままノントイレで続行。山中湖の対岸から見た富士山は絶景でした。山中湖をぐるりと回ると27km。けっこうの距離を走っていますが、全体から見ればまだまだ序の口。

ここからはR138の裏道を走るわけですが、これがなかなか心地いいロードなのです。ファナックの工場のあたりはナチュラルに下り坂になっていて膝に負担なくスピードを出すことができます。ファナックの工場群を抜けたところに秘密のトイレがあります。ここに駆け込みほぼ時間ロスなしで再スタート。このブログ読んだ方、口外無用でお願いします。

ここからが昨年とコース変更になった部分。そのまま河口湖に行くのではなく、またスタート地点付近まで山登りしなければなりません。35kmから延々と続く坂道は罰ゲーム以外の何物でもありません。5kmくらい上ったでしょうか。途中から歩いてしまいました。キロ7分30秒で実質的にゲームオーバーなので貯金はなるべく使いたくなかったのですがこの坂道でキロ6分57秒くらいまで下がってしまいました。40kmくらいから下りになりステラシアターまで飛ばしました。

キロ6分50秒くらいまでは縮めたと思います。ロキソニンの効果があってか痛みは消え、ガンガン飛ばして取り返そうとしました。でもそれが失敗でした。ここから大きく展開が変わっていきました。ステラシアターで信玄桃を頬張りながらひとやすみ。早くもフルマラソンの距離を来ています。所用時間4時間38分。まあまあのペースですが、この距離の3倍弱。気が遠くなるような距離が残ってます。河口湖に向かう途中で陽が強くなってきて上着を脱ぎましたが、小さなザックに入らず腰巻に。河口湖大橋あたりでは早くも坂道激走のしっぺ返しがきていました。かなり足がパンパンになってきて信号ストップを歓迎している自分が情けない。

大橋を渡った次の給水所で靴下を脱ぎ、スプレーをふんだんに吹きかけました。水もたらふく飲み少し長めに休憩したのですが、ここで致命的なミスをしてしまったようです。それはロキソニン第二弾の投入について。ロキソニンは劇薬なので2錠は使いたくなかったのです。でも自分の感覚ではまた痛みが出てきそうな気配を感じてました。結局、飲まずに走り出したのですが、案の定、50kmもいかないうちにまた膝が痛くなってきました。ロキソニンが切れてきたようです。飲んでおくべきでした。

途中で2錠目を飲みましたが遅かったようです。河口湖畔は桜がとても綺麗で心がなごむところのはずなのですが、痛みを耐えるのに四苦八苦していました。速度もガタ落ちになって桜を写メっていたときに悪魔の囁きのような電話がかかってきました。妻からでした。

私の足痛を察したかのようなタイミングでの電話。足が大丈夫か心配して電話してきたのです。正直に痛いことを告げると、長男が応援に車で向かってるから無理しないでいつでもDNFしなさいという悪魔のささやき。はっきり言って第二関門の西浜小学校ですら危ない状態まで追いつめられていました。そんな援護はいらないとツッパリましたが関門にひっかかったら帰りは楽ちんだななんていうとんでもない甘えが芽生えてきました。

西浜小学校の関門時刻は11:00。 交差点を右折して遠くに西浜小学校が見えたのが10:50。せめて第二関門は突破しないとかっこがつかないと思い、痛みをこらえながら坂道をひたすら駆け上りました。西浜小学校には10:57で飛び込むことができました。ここまでで56km。半分も来ていません。ここでギブアップすべきか悩みましたが、通過できたんだから本栖湖まで頑張るべき、どうせ西湖へ上る坂は歩く予定だったんだから歩きながら様子をみようということで、続行することに。

そこから地獄は始まりました。西湖に入っても歩きから走りに変えられません。痛みは強まるばかり。このままでは、再起不能の事態になるかもしれない。ついに60kmのラインを超えた直後、係の人にリタイアを申し出ました。宣言したのは生まれて初めて。悲しいやら悔しいやら。しかし、関門でないとチェックシートがないらしくリタイヤできないみたいなのです。4km戻れば西浜小学校でリタイヤ申告できるんですが途中、後続のランナーに醜態をさらしながら歩く姿を見せなければなりません。

さすがにそこまでみじめになりたくなかったので本栖湖(15km先)を目指すことになりました。テクテクテクテク。。無限とも思えるような西湖のほとり。地図では小さな湖なのに歩くととてつもなく大きく感じます。結局、70km地点の精進湖の入り口で力尽き、丁度、競争相手のラン友さんにも追いつかれ私の富士五湖は終わりました。長男君が先回りして私を精進湖で回収してくれました。不甲斐ない記録をつけるのもつくづく嫌になりますが、来年、この反省をもとに改善をすることは大切だと思うので書き残します。来年は「絶対リベンジ!」です。